【読者投稿】恋一夜

当サイトでは、読者さんからのコミックス感想文を募集しています。

今回は、美由奈さんからの投稿で、恋一夜について、感想文を掲載します。

(美由奈)父を殺され吉原に売られた遊女【鈴音】は、自身の人生を滅茶苦茶にした因縁の男【春海】と再会してしまう。奪われた幸せを返してもらおうと手練手管で虜にしようとするけど、春海は決して鈴音に触れようとしない。抱かれても抱かれなくても満たされない寂しい少女がそこにいて悲しくなります。そして春海の優しさが贖罪ゆえのものであったことへの絶望。悲しいのに本当に美しいです。

以前、響ワタル先生が描いていた「おいらんガール」とはまた違った花魁ものです。彼女は最後に間違いなく幸せを手にしたんだと思いました。鏡越しに春海の姿を見つめるシーンがお気に入りです。

吉原の妓たちの許されないけど焦がれる恋を描いた短編集です。ちなみに見世の人間と妓の恋は許されず、バレると罰せられます。吉原の見世の息子に拾われた身寄りのない少女の恋や、遊女は自由に泳げない金魚のようだと達観している女の恋など。切ないです。どの主人公もみな一生懸命生きて、恋をしています。最後の瞬間の大きな変化、たとえハッピーエンドでなくてもこの恋をしなければ、少女たちはこんなにも幸せを感じなかっただろうな。

ハッピーエンドじゃないと嫌!って人にはオススメしづらいですが素敵な作品でした。切ない結末がお好きなひとは是非!

khy

恋一夜 (花とゆめCOMICS)
響ワタル
白泉社(2015-11-05)

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